みなさん、こんにちは!
このブログでは、中学受験の過去問を「答えが分かる」だけでなく、「なぜそうなるのか」まで分かるように、できるだけ丁寧に解説しています。
今回は、2026年度・慶應中等部の理科の大問4を一緒に見ていきましょう!
(なお、本記事では問題文の趣旨を把握できるように問題文の部分的な引用をしていますが、著作権に配慮して入試問題の全文掲載は行っておりません。可能であれば、ぜひお手元に2026年度の過去問をご用意のうえ、問題とあわせてご覧くださいね。)
「慶應義塾中等部2027年度用」
(声の教育社)
慶應中等部2026年度(令和8年度)の大問4はどんな問題?
2026年度の慶應義塾中等部の理科は、大問4題の構成でした。
今回は、そのうち大問4「ろうそくに火がつく仕組みと、ドライアイスを用いた実験」を解説します。
具体的な問題内容や設問解説はこの後にしますが、さて、この問題で扱われている知識自体は、それほど難しいものではありません。
しかし、
- ろうそくは、いったい「何」が燃えているのか?
- ドライアイスから出てくる気体は何か?
- ドライアイスを水に入れたときの「白い煙」の正体は何か?
- なぜ、ろうそくの火は消えるのか?
といった現象を、「なんとなく」ではなく「科学的に」理解している必要があります。
特に、ドライアイスからモクモクと立ち上る「白い煙」=二酸化炭素と思っている人は要注意です。
では、一つずつ見ていきましょう。
まずは問題文を整理しよう
問題文には、ろうそくが燃えるしくみについて次のような説明があります。
ろうそくの芯に火をつけると、
① 火の近くのろうがとける
↓
② 液体になったろうが芯を伝わって上がる
↓
③ 液体のろうが火の熱によって気体になる
↓
④ 気体になったろうが空気中の酸素と結びついて燃える
という流れになっています。この流れが非常に重要です。
「ろうそくが燃える」という現象を、
「芯が燃えている」
あるいは、
「固体のろうが燃えている」
「液体のろうが燃えている」
と思ってしまっている受験生が結構多いですが、そうではありません。
固体のろう → 液体のろう → 気体のろう
という流れを経て、実際に燃えているのは「気体になったろう」です。
設問(1) 「溶けたろうが芯を上っていく現象」は何か?
設問(1)は、
「溶けた液体(溶けて液体になったろう)は、芯を伝わって上がっていく。」
という部分が下線部になっており、この現象の名称を答える問題です。
選択肢には、
- ろ過
- 蒸発
- 毛細管現象
- 燃焼
の4つが並んでいます。
いきなり答えを知るのではなく、「どんなことが起こっているのか?」をまず理解しましょう。
ろうそくの上部には、「火によって溶けたろう」と「ろうそくの芯」があります。
この「ろうそくの芯」は、一本の棒のように見えますが、実際には繊維が集まってできています。
そのため、繊維と繊維の間には非常に細かなすき間があります。
「とけて液体になったろう」は、その繊維と繊維の間の隙間(すきま)を通って上へ吸い上げられていきます。
この「細かな隙間や細い管に液体が入り込み、液体が上がっていく現象」のことを毛細管現象といいます。
よって正解は「③毛細管現象」です。
この毛細管現象の身近な例として挙げられるのは、「ティッシュペーパーの端を水につけると、水がだんだん上までしみ込んでいく現象」です。
植物が水を運ぶしくみを考えるときなどにも関係してくる現象なので、この設問を通してしっかりと押さえておきましょう!

設問(2) ドライアイスを水に入れたときの「白い煙」の正体は?
設問(2)は、
「水にドライアイスを入れると、『もくもくとした白い煙のようなもの』が発生します。この白い煙は何か?」
という問題です。
選択肢を見ると、
- ドライアイスが液体になったもの
- ドライアイスが気体になったもの
- ビーカー内の水分が小さな氷や水のつぶになったもの
- ビーカー内の水分が気体になったもの
となっています。
まず、この設問を解く前の大前提として知っておくべきは、
ドライアイス=固体の二酸化炭素
ということです。
ドライアイスは(ふつうの気圧下では)、固体 → 液体 → 気体とは変化せず、固体 → 気体と直接変化します。
この変化を昇華といいます。(ここまでは知っている方も多いでしょう。)
このことを知っていると、
「ドライアイスが気体の二酸化炭素になったのなら、あの白い煙は二酸化炭素なのでは?」
と思うかもしれません。
しかしここで思い出してほしいのは「二酸化炭素そのものは無色透明で目に見えない」ということです。ここが重要です。
(だって、もし二酸化炭素に色がついていたら、その二酸化炭素を含む空気にも色があるわけで、僕らの世界はうっすら色づいて見えてしまいますよね。二酸化炭素がもし黄色とかだったら、世界はうっすら黄色なわけです。)
したがって、ドライアイスを水に入れた時に出てくる「白いモクモク」は二酸化炭素ではありません。ここ大事、試験に出るよー!(すでに出ている。)
では、「白いモクモク」は何なのか?
これも現象としての流れを見ていきましょう。
まず、超低温のドライアイスを常温の水に入れると、温められて気体の二酸化炭素になります。
この二酸化炭素はまだまだ十分に冷たいため、その周囲の空気は冷やされます。
すると、その周囲の空気の中にある水蒸気が冷やされて、非常に細かな水滴や氷の粒になります。
この「細かな水滴や氷の粒」が光を散らすため、私たちの目には「白く」見えます。これが「白いモクモク」の正体です。
つまり、
①超低温のドライアイスを常温の水に入れる
↓
②気体の二酸化炭素(低温)になる
↓
③低温の二酸化炭素が周囲の空気を冷やす
↓
④空気中の水蒸気が細かな水滴や氷の粒になる
↓
⑤その細かな水滴・氷の粒による光の散乱で「白く」見える
ということです。
・二酸化炭素 → 目に見えない
・白く見えているもの → 細かな水滴や氷の粒
ということです。
よって正解は「③ビーカー内の水分が小さな氷や水のつぶになったもの」です。
機械的に「ドライアイス=二酸化炭素=白い煙」としないように!
科学の目をもって「現象」としてしっかり押さえておきましょう!

設問(3) ドライアイスから発生する気体を主な大気の成分とする天体は?
設問(3)は、
「ドライアイスから発生した気体を主な大気の成分とする太陽系の天体は?」
という問題です。
ドライアイスは、設問(2)で説明した通り、固体の二酸化炭素ですね。
では、太陽系の天体のうち、二酸化炭素を主な大気の成分としているものは何でしょう?
これはピンポイントに覚えるのではなく、各太陽系の天体の主要大気成分を押さえておきたいところ。以下の表のようになっています。
| 天体 | 主な大気成分 |
|---|---|
| 水星 | 大気はほとんどない |
| 金星 | 二酸化炭素が中心 |
| 地球 | 窒素・酸素が中心 |
| 火星 | 二酸化炭素が中心 |
| 木星 | 水素・ヘリウムが中心 |
| 土星 | 水素・ヘリウムが中心 |
| 月 | 大気はほとんどない |
よって、設問を読み始めた時には「金星と火星だなー」と思いながら選択肢を見てみると、
- 水星
- 木星
- 金星
- 土星
- 月
となっています。よって、正解は「③金星」です。
この「金星=二酸化炭素」は中学受験では重要な組み合わせです。
金星は大量の二酸化炭素による強い温室効果のため、表面温度が非常に高くなっています。
「金星は太陽に一番近い惑星ではないのに、太陽系の惑星で最も表面温度が高い」というところまで結びつけて覚えておくと、知識が「点」ではなく「線」になります。

設問(4) なぜ、ろうそくの火は消えたのか?
設問(4)は、
「水が少し入っているビーカーにドライアイスを入れ、発生した気体で満たした。火をつけたろうそくをこのビーカーに入れたところ、火は消えた。」とありますが、火が消えた理由を答えなさい。
というものです。
先述の通り、ドライアイスから発生した気体=二酸化炭素ですね。
では、なぜ二酸化炭素で満たされたビーカーにろうそくを入れると、火が消えるのでしょうか。
ここで重要なのは、「物が燃えるために必要な条件(燃焼条件)」です。
これは3つあり、
条件①:燃える物がある
条件②:十分な量の酸素がある
条件③:発火点以上の温度
です。
本問の実験のビーカーの中は、常温の水によって超低温のドライアイスが温められて、どんどんと二酸化炭素が発生していきます。よって、以下のような流れが生まれています。
①常温の水によって超低温のドライアイスが温められる
↓
②ビーカーの中に二酸化炭素が増えていく
↓
③ろうそくの周囲に十分な酸素がなくなる
↓
④燃焼条件の1つを欠き、火が消える
したがって、正解は「②ドライアイスから発生した気体によって、酸素がろうそくの芯に十分に来なくなったため」になります。
ここで重要なのは、「二酸化炭素には火を消す性質がある」という粒度の理解ではダメということです。
二酸化炭素は、炎に対して何か特別な”消火パワー”を発揮して火を消している、のではなく、燃焼に必要な酸素を遮断することで火が消えているわけです。
この違いは、ぜひ押さえておきたいところです。

慶應中等部を目指すなら「現象を説明できる」勉強を
今回の慶應中等部の大問4を見ていきましたが、知識そのものだけを見れば難問ではありません。
しかし、
「ドライアイス=二酸化炭素」
「金星=二酸化炭素」
といった暗記だけでは不十分で、
「なぜろうそくの芯を液体のろうは上がっていくの?」
「ドライアイスの白い煙の正体は何?」
「なぜ二酸化炭素の中では火が消えるの?」
といった内容を、「知識」としてではなく「現象」として自分の言葉で説明できるか否かによって得点が大きく変わります。
中学受験の理科では、
「知っている(≒知識)」ことと「分かっている(≒現象を説明できる)」ことは大きく違います。
特に慶應中等部を目指すのであれば、用語を覚えて終わるのではなく、
現象を見る
→ 何が起きているのか考える
→ 持っている知識と結びつける
→ 理由を説明する
というところまで普段から練習しておきたいところです。
今回の大問4は、まさにその力を確認する良問だったと言えます。
そういった学習への転換点として、本問を活用しましょう!
「現象を説明できる」理科の指導を行っています!
ここまで紹介してきたような、「知識を覚える」だけでなく、「なぜそうなるのか?」を自分の言葉で説明できるようにする指導を、普段の個別指導でも大切にしています。
理科が暗記科目になってしまっている。
知識はあるのに、実験・考察問題になると解けない。
志望校の過去問を、もっと深く理解できるようになりたい。
そんなお子さんを対象に、現在、中学受験理科の個別指導・志望校別対策の生徒を募集しています。
一問を解いて終わりではなく、「なぜ?」まで理解し、初めて見る問題にも使える力へつなげることを目指して指導しています。
ご興味のある方は、お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。
